以前、家内に明治ホールディングス(2269)を勧めました。ヨーグルトと牛乳とチョコレートの会社ですから、値動きは穏やかで配当も出る。株を始めたばかりの人が持つのに向いている、そう考えたわけです。
ところが、いつも苦情を言われます。値動きが大きい。ほかの株が上がっているのに、これだけ下がる。
言われるたびに、うまく答えられませんでした。それで腰を据えて調べてみることにしました。この会社はディフェンシブ株なのか、成長株なのか、それとも博打株なのか。結論から言うと、3つとも外れていました。
そして調べ始めてすぐに分かったのは、私がこの会社の正体をほとんど知らなかったということです。この会社の起源は、お菓子でも牛乳でもありません。砂糖です。1906年に台湾で設立された明治製糖が共通の起源だと、有価証券報告書の沿革に明記されています。発起人で創立委員長を務めたのは渋沢栄一でした。
もう1つ。2026年3月期の営業利益933億円のうち、30.7%は食品ではなく医薬品から出ています。売上構成では医薬品は19.8%しかありませんが、営業利益率が食品7.3%に対して医薬品13.1%と1.8倍厚いためです。明治という名前で薬を思い浮かべる人は少ないでしょう。私も思い浮かべませんでした。
記事(前編)では、次の内容を扱っています。
- 1916年に菓子会社が2つ同時にできた理由。「砂糖の消費促進」と設立目的に書かれた会社が、なぜ翌年に吸収されたのか
- 牛乳部門は三井物産から来た。明治乳業の前身・極東煉乳が明治入りしたのは1935年で、菓子部門より19年遅い
- 薬はなぜ菓子会社から生まれたのか。1946年、川崎工場の空き瓶でペニシリン製造を開始。その主要原料の1つが乳糖だった
- 2011年に起きた「ねじれ」。明治製菓は菓子を手放して Meiji Seika ファルマになり、明治乳業が菓子を引き受けて「株式会社 明治」になった
- 買ったものと売ったもの。インドのメドリーチを約2億9,000万ドル、KMバイオロジクスを約500億円。農薬事業は約422億円で売却
- 食品5事業・医薬品3事業の売上と利益。1つだけ増収なのに減益の事業があります(チョコレート)
- 値上げを数え上げると菓子系9回・乳製品系9回。きのこの山の袋は138gから92gへ33%減
- それでも増益は41億円だけ。価格改定効果+485億円が、数量減と原料高にどう吸い込まれたか
- 営業利益は過去5年で最高(933億円)、純利益は過去5年で最低(351億円)。同じ年に両方が起きた理由
- 実績PER32.1倍と予想PER18.0倍が同時に存在する意味
本記事は有料noteです。沿革の入口(起源が製糖だったこと、1916年に菓子会社が2つできた経緯)までは無料でお読みいただけます。
後編では、株主構成と浮動株比率、為替感応度、中期経営計画の実現可能性、そして中長期投資の対象としての結論を扱います。
▶ 後編「自分で中期計画を1,165億円から1,000億円に下げました」
なお、これは公開されている一次情報の整理であって、個別の投資助言ではありません。株価は2026年9月30日終値、財務数値は決算短信・有価証券報告書によります。投資の判断はご自身の責任でお願いします。

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