明治ホールディングス(2269)を家内に勧めたら、いつも苦情を言われます。値動きが大きい。ほかの株が上がっているのに、これだけ下がる。
調べてみたら、この2つの苦情は両方とも正しく、しかも同時に起きる理由がたった1つの数字で説明できました。
ベータ0.13です。市場が1%上がっても、理屈のうえでは0.13%しか上がりません。これは「ディフェンシブ銘柄」の定義そのもので、だから他の株が上がる日に置いていかれます。上がらないのではなく、連動しないのです。
一方で値幅は本物です。2025年10月の安値2,907円から2026年9月3日の年初来高値4,608円まで、11か月で58%。そこから9月30日終値4,156円へ1か月足らずで9.8%下げています。ベータが低いのは「市場と連動しない」という意味で、「動かない」という意味ではありません。動かしているのは市場ではなく、会社自身です。
実際、純利益は5年で875億円から351億円へ6割減った一方、営業利益は929億円から933億円でほぼ横ばい。毎年、営業利益の下の特別損益が最終利益を決めています。減損は3年で2回、合計400億円です。
記事(後編)では、次の内容を扱っています。
- 株主名簿の中身。信託銀行名義で22.51%、外国人27.12%、株主数23万5,145名。上位10位に200億円を入れてきたファンドの名前
- 明治安田生命は明治HDの株主ではありません。資本関係もない、というよくある誤解の訂正
- 浮動株は8割以上。「浮動株が少ないから荒れる」という説明はこの銘柄には使えません
- 為替。1円あたりの感応度は非開示だが想定レートはドル150円と開示されている。9月末の実勢157.28円との差7円が、CFOの言う「期初未織り込みの80億〜90億円」の正体
- 会社開示のコストアップ内訳。国内生乳31億・輸入乳原料27億・包材25億・カカオ10億。2026年度はもうカカオが主犯ではありません
- カカオは史上最高値12,931ドルから半値へ。それでも「日本のチョコレートは安過ぎた」と値下げを拒否する役員発言の全文
- 乳価据え置きが投資家目線では悪い話になりうる理由。2026年に乳製品の値上げ発表が1件もないことと、これはつながっています
- 中期計画の自主的な下方修正。営業利益1,165億→1,000億円、海外売上高2,525億→1,828億円(△27.6%)。CFOは「過去の中計では未達が続いた反省もあります」と公式に認めています
- それでも1,000億円は届くと見る根拠。第1四半期の進捗と、実際に動いた5つの構造改革(中国乳業3社を76億円で売却、冷凍食品撤退、工場集約、食品150品撤退、自販機事業終了)
- 売却先は、明治HDが15.85%を出資する会社の関係会社でした
- ワクチンには2027年6月という期限があります。アークトゥルスの米国開示に書かれている契約終了予定
- 財務の制約。FCFマイナス538億円、有利子負債は478億円→1,125億円→1,382億円。自己株買いは2年ゼロ、配当性向81.1%で12期連続増配
- ディフェンシブ株・成長株・博打株の3つを当てはめて、全部外れることを確認したうえでの結論
- 持ち続けるなら確認すべき数字は4つだけ、というまとめ
ちなみに、5年の株主総利回りは明治HDがプラス21.7%に対し、TOPIX(配当込)はプラス102.2%。80ポイント負けています。守りは効いたが、増えなかった。家内の苦情は、この表に全部書かれていました。
本記事は有料noteです。ベータ0.13で2つの苦情が説明できるところまでは無料でお読みいただけます。
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なお、これは公開されている一次情報の整理であって、個別の投資助言ではありません。浮動株比率の公式値とベータの国内ソースは取得できず、その旨を本文中に明記しています。株価は2026年9月30日終値。投資の判断はご自身の責任でお願いします。

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