お知らせです。拙著『皇帝の財務諸表 ― 歴史の興亡をキャッシュフローで解く』を、9月19日から23日まで、Kindleで無料にします。通常980円の本です。
一言でいうと、これは歴史の本の顔をした、財務の本です。皇帝を「社長」に、領土を「資産」に、税収を「売上」に、軍事費を「固定費」に読み替える。それだけで、王朝の興亡はそのまま企業の倒産事例集に変わります。
たとえば前漢です。高祖・劉邦から文帝・景帝まで、漢は約140年にわたって徹底的に貯め込みました。史書には、国庫の銭を束ねていた紐が腐って千切れるほど放置されていた、と書かれています。現金が一度も動かされずに積み上がっていた、超キャッシュリッチな状態です。その内部留保の塊を相続したのが、六代目の武帝でした。武帝は匈奴遠征という巨大な新規事業に打って出ますが、砂漠を越える物流コストは前線に届く頃に数十倍に膨らみ、占領した土地は不毛で税収が立たず、守るためにさらに兵が要る。140年ぶんの現金は、一代で溶けてなくなりました。
そこで武帝が手をつけたのが、塩と鉄の専売です。塩は、細胞の浸透圧を保ち神経を伝わらせるために、人間が欲しくなくても摂らなければ死ぬものです。値段をいくら上げても需要が落ちない。武帝はこの生物学的な参入障壁を、法律で独占しました。
note記事では、本書の中身を章ごとにひととおり開いています。
- 140年ぶんの内部留保を一代で溶かした武帝と、不採算事業だけを切って専売制は残した宣帝(前漢)
- 人間が塩なしでは死ぬ、という事実に値札をつけた塩鉄専売。生物学的な参入障壁とは何か
- 球根1個が熟練職人の年収300ギルダーの10倍、現代でいえば4,000万円になった1637年(オランダ)
- 証拠金も清算機関もない「風の取引」と、1730年公認の堂島米会所の決定的な差
- 給料を現金で払うと約束した帝国が潰れた理由。マムルークの人件費とイクター制という丸投げ(アッバース朝)
- 新田開発が成功したせいで米価が下がった皮肉。武士の実質購買力が享保期に元禄期の50〜60%へ(徳川幕府)
- 金銀含有量を44%減らし、小判100両から165両を作った大岡越前のリフレ政策(元文の改鋳・1736年)
- 万里の長城は年間降水量400ミリの線に沿って走っている。明代の約80万人の兵士と、防衛の損益分岐点
- 西晋の過度なフランチャイズ化と、前秦がたった一度の敗戦で解体した理由
- 現代の「皇帝企業」をどう見分けるか
続きは、noteの記事でお読みください。
なお、Kindleの無料キャンペーンは米国太平洋時間で管理されているため、日本時間では開始も終了も半日ほど後ろにずれます。19日の朝に0円になっていなくても、夕方以降にもう一度ご覧ください。

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