日経平均:54,245円(前日比 −2,033円 / −3.61%)|
ドル円:156.98円(やや円高)|
NYダウ:48,501ドル(前日比 −403ドル / −0.8%)|
ブレント原油:82.60ドル/バレル
⚡ 本日の最重要ヘッドライン
イランがホルムズ海峡の封鎖を宣言し、エネルギー施設へのミサイル・ドローン攻撃が続くなか、日経平均は3月4日に一時1,500円安となり、終値で2,033円の急落を記録しました。トランプ米大統領が「米海軍によるタンカー護衛」を表明したことで下げ幅はやや縮小しましたが、市場のリスク回避姿勢は続いています。
🏠 国内マーケット
日経平均、急落2,000円超——中東ショックが直撃
3月4日の東京市場は、前日の米市場急落を引き継ぐかたちで大幅安で始まりました。日経平均の終値は54,245円で、前日比2,033円安(−3.61%)です。午前中には一時1,500円超の下落局面もありました。
背景にあるのは、イランによるホルムズ海峡の封鎖宣言と、中東全域に広がるミサイル・ドローンによる波状攻撃です。日本の原油輸入の94%は中東依存で、そのうちの8割がホルムズ海峡を通ります。エネルギーコスト急上昇への懸念が、エネルギー・輸送・素材株を中心に売りを加速させました。
一方、原油高の恩恵を受けやすい石油関連株は逆行高となり、相場の二極化が鮮明です。
企業業績は5年連続の最高益——地合いの悪さが隠している実力
上場企業の2026年3月期決算は、従来の減益予想から一転して前期比1%増となり、5年連続で過去最高益を更新する見通しとなっています。AI投資需要の拡大と、非中核事業の売却・資本効率改革が下支えしています。地政学リスクによる株価の下落は、企業の稼ぐ力とはひとまず別の話として考える必要があります。
注目セクター:AI・半導体関連に底堅さ
安川電機(産業用ロボット・NVIDIA製GPUを搭載した次世代機「MOTOMAN NEXT」)、味の素(半導体パッケージ用のABFフィルム)、太陽誘電(AIサーバー向けMLCC)など、AI関連の日本企業は中長期の成長期待が高い状態です。中東ショックによる短期の下落は、押し目として着目できる局面とも言えます。
🌍 海外経済
NYダウ、一時1,200ドル安から403ドル安に縮小——タンカー護衛表明が歯止め
3月3日のニューヨーク市場では、ダウ平均が一時1,200ドルを超える急落となりました。終値は48,501ドルで前日比403ドル安(−0.8%)です。トランプ大統領がホルムズ海峡を通過するタンカーを米海軍が護衛すると表明したことで、午後に入って下げ幅を急速に縮めました。
市場が最も神経質になっているのは原油の「供給途絶リスク」であり、護衛表明はとりあえずの安心感をもたらしましたが、根本的な解決にはなっていません。
原油、ブレント82ドル台——100ドル超なら日本経済に深刻な打撃
ブレント原油は現在82.60ドル/バレル前後で推移しています。攻撃前の2月27日は73ドルでしたから、約1週間で13%超の急騰です。市場では100ドル突破シナリオも語られ始めており、もしそうなれば国内ガソリン価格は1リットル当たり180〜200円超えが視野に入ります。インフレ再加速とスタグフレーションへの警戒感が高まっています。
トランプ関税——最高裁が「相互関税令は違法」と判決
米連邦最高裁は2月20日、大統領令による相互関税は違法・無効と判断し、2月24日から相互関税の徴収が停止されました。ただし、1974年通商法第122条に基づく10%の追加関税は150日間の時限措置として継続中です。
企業は再び値上げ姿勢を強めており、ジーンズ・スパイスなど身近な消費財から電子機器・家電にまで価格転嫁の動きが広がっています。
🏛️ 政策見通し
日銀——政策金利0.75%、次の利上げは7月か
日本銀行は2025年12月に政策金利を0.75%に引き上げ、30年ぶりの高水準となっています。野村證券は2026年6月・12月の追加利上げを予想し、ターミナルレートは1.50%と見ています。第一生命経済研究所は7月に1.0%到達との見通しを示しています。
中東情勢による円高・原油高という二つの逆風は、日銀の利上げ判断に複雑な影響を与えます。円高は輸入物価の抑制要因となる一方、原油高はインフレ圧力として利上げを後押しします。今後の日銀の声明文から目が離せない状況です。
FRB——FF金利3.50〜3.75%据え置き、次期議長レース過熱
FRBのFF金利は現行3.50〜3.75%で、2026年中は据え置きが主要シナリオです。パウエル議長の任期は2026年5月末で切れ、後任にはハセット国家経済会議委員長、ウォーシュ元FRB理事、ウォラー現理事などの名前が挙がっています。次期議長の姿勢(タカ派か、ハト派か)が今後の米国金利・ドル動向を大きく左右するため、市場は人事情報に敏感になっています。
✍️ 著者コメント(和田康彦・佐賀大学名誉教授・投資歴25年)
今朝の最大のキーワードは「ホルムズ海峡」です。日本の原油輸入の8割が通過するこの海峡が機能不全に陥るリスクは、単なる株価の話ではありません。ガソリン代、電気代、食料品の物流コスト——日常生活のあらゆるコストに跳ね返ってきます。
投資歴25年の経験から言えば、こうした地政学ショックは「パニック売り」と「冷静な拾い場」が同時に来る局面です。2022年のウクライナ侵攻、2020年のコロナショック、いずれも最初の急落から半年〜1年のうちに相場は回復しました。ただし、今回のイラン情勢は中東全体を巻き込む規模であり、簡単に収束するとは言い切れません。
短期的な急落に慌てて全部売るのは得策ではありませんが、ポジションを落として「耐えられる水準」に調整しておくことは合理的な判断です。現金比率を高めながら、AI関連・内需ディフェンシブ銘柄への分散を検討する時期と言えるでしょう。
拙著では、こうした混乱期でも慌てない投資の考え方を解説しています。よろしければご覧ください。
- 📘 まだ間に合う日本株投資——混乱相場でも動じない長期投資の軸を作る
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