日経平均:52,728円(▲2,892円 / ▲5.20%) |
ドル円:158円70銭(円安) |
NYダウ:47,740ドル(▲→+239ドル 乱高下)
⚡ 本日の最重要ヘッドライン
- ⚡ 日経平均が一時4,200円超安——過去3番目の下げ幅、200日線も割れる
- ⚡ 原油WTIが一時119ドル台→81ドル台に急落、トランプ氏「戦争ほぼ終了」
- ⚡ 米2月雇用者数が▲9.2万人——13年ぶりの大幅マイナス、景気不安が直撃
国内マーケット
日経平均、過去3番目の下げ幅——5万2,728円で終値
2026年3月9日(月)の東京株式市場で、日経平均株価は前週末比2,892円12銭(5.20%)安の5万2,728円72銭で大引けとなりました。一時は4,200円を超える急落で5万1,000円台まで沈む場面があり、下げ幅は「令和のブラックマンデー」と呼ばれた2024年8月5日以来、1年7カ月ぶりの大きさ(過去3番目)を記録しました。
200日移動平均線(52,745円)も終値ベースで割り込み、チャート上は調整の長期化を示唆しています。エネルギー輸入依存度の高い日本にとって、原油急騰は企業コスト増と円安加速という二重のダメージになります。終盤はG7財務相による備蓄共同放出の協議報道を受けて下げ幅が縮小しました。
東証グロース市場250指数も3.59%安の743.09となり、全面安の展開でした。
参考:東証大引け 日経平均は3日ぶり反落 過去3番目の下げ幅(日経)
ドル円158円台——円安ドル高が継続
東京外国為替市場のドル円相場は、午前9時台に158円40銭台、日中高値は158円68〜70銭で推移しました。中東有事を背景とした「有事のドル買い」と、原油高による輸入コスト増を警戒した円売りが重なり、円は上値の重い展開が続いています。日銀の政策金利は現在0.75%(昨年12月に引き上げ)で、次回利上げは2026年後半との見方が市場のコンセンサスです。
実質賃金13カ月ぶりプラス、経常黒字も復活
厚生労働省が発表した1月の実質賃金は前年同月比+1.4%と、13カ月ぶりのプラスに転じました。物価高の鈍化と春闘効果の浸透が数字に表れ始めた形です。また、財務省が発表した1月の経常収支は9,416億円の黒字(前年同月比で改善)で、貿易赤字の縮小が黒字転換に貢献しました。株式市場の波乱とは裏腹に、実体経済の基礎体力は維持されています。
海外経済
NYダウ、一時800ドル安から一転239ドル高——トランプ「戦争ほぼ終了」で急反発
9日のニューヨーク株式市場は大荒れの展開でした。米2月雇用統計の大幅悪化と原油高騰を受けて寄り付き直後に800ドルを超える急落がありましたが、トランプ大統領がCBSの取材で「戦争はほぼ終了した」「予定より相当早く進行している」と述べ、イランへの軍事作戦が一段落したと示唆すると、原油が急落し株は急反発。ダウ工業株30種平均は前週末比239ドル(0.5%)高の4万7,740ドルで取引を終えました。
ただし、1日の値幅が1,000ドルを超える乱高下は投資家心理の不安定さを示しており、引き続き中東情勢と原油動向が最大のリスク要因です。
参考:NYダウ239ドル高、原油81ドル台に急落 トランプ氏「戦争ほぼ終了」(日経)
米2月雇用統計が大幅マイナス——景気後退懸念が浮上
3月6日(金)に発表された米2月雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比9.2万人の減少となり、市場予想(+5.5万人)を大幅に下回りました。2025年12月分も4.8万人増から1.7万人減に下方修正されており、雇用の軟化は一時的要因(大寒波・医療ストライキ)を超えたトレンドの可能性があります。失業率は4.4%に上昇し、FRBの利下げ観測を高める一方でインフレ懸念と綱引きする難しい局面です。
原油WTI、119ドル台から81ドル台へ17時間で急落
WTI原油先物は3月8日夜に119ドル台半ばまで急騰しましたが、翌9日の取引でトランプ発言を受けて81ドル台前半まで急落。約17時間で38ドル近い変動という歴史的な乱高下となりました。イランへの軍事作戦が短期終結に向かうという観測が広がったものの、中東の地政学リスクが完全に消えたわけではなく、市場は依然として警戒を緩めていません。
参考:原油価格が1バレル100ドル突破、イラン情勢悪化で(Bloomberg)
政策見通し
日銀——次回利上げは後半か、原油高とドル安が複雑化
現在の政策金利は0.75%。日銀内では1.0%への利上げを主張する委員もいますが、1月の金融政策決定会合では否決されました。原油高は輸入インフレを通じて金利正常化を後押しする半面、景気への悪影響もあり、判断を慎重にさせています。市場のコンセンサスは「次の利上げは2026年後半」ですが、ドル円の動向次第で前倒しの可能性もあります。
参考:追加利上げで政策金利0.75%へ(第一生命経済研究所)
FRB——利下げ期待高まるも、インフレとの綱引き
雇用統計の大幅悪化でFRBへの利下げ圧力が高まっています。しかし原油高によるインフレ再燃リスクも同時に存在しており、市場は2〜3回の利下げを織り込もうとしながらも確信が持てない状態です。次回FOMC(3月17〜18日)での発言内容が注目を集めています。
著者コメント(和田康彦)
先週末の雇用統計ショックに週明けのイラン有事が重なり、日経平均は一時4,200円安という壮絶な下落になりました。ただ投資家として冷静に見ると、今回の下落は「実体経済の悪化」ではなく「地政学リスクの急上昇と原油ショック」が震源地です。トランプ氏の「戦争ほぼ終了」発言一本で原油が40ドル下げ、NYダウが1,000ドル乱高下したことがそれを証明しています。
実際、日本の実質賃金は13カ月ぶりにプラスへ転換し、経常黒字も復活しました。ファンダメンタルズの悪化を示すデータではありません。私自身は全金融資産に対するリスク資産の割合は15%程度なので、保有株を慌てて売ることはせず、むしろ下値での買いを検討しています。投資歴25年で何度もこういう「恐怖の窓」を経験してきましたが、地政学リスクが収束すれば市場は短期間で回復することが多いものです。今後1〜2週間の中東情勢と原油価格の動きを慎重に見極めたいと思います。
日本株投資の考え方については、拙著『まだ間に合う日本株投資』をご参照いただけますと幸いです。
【著者の本】
- 📘 まだ間に合う日本株投資(和田康彦)
- 📗 皇帝の財務諸表(和田康彦)
- 📙 中国史は地理で決まる(和田康彦)

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