私の運営するサイト「wadaken.top」のアクセス解析(GA4)を眺めていたとき、奇妙なデータが目に飛び込んできました。

history.wadaken.topを開設したのが1月25日。開設当日に、中国の「Lanzhou(蘭州)」という都市からのアクセスが急増。それも、アクセスしてきた全員が、滞在時間わずか「0秒」で立ち去っています。
この奇妙なデータの裏側から、現代のデジタル・シルクロードの断片を読み解いてみましょう。
蘭州――かつての要衝、現在のデータ拠点
蘭州といえば、歴史好きなら誰もがピンとくる名前ですよね。古来、シルクロードの要衝で、河西回廊の入り口として、漢と西域を結ぶ物流と情報の十字路でした。
しかし、なぜ21世紀の今、私の個人サイトに蘭州から大量のアクセスが来たのでしょう?
解析データを詳細に見ると、その正体が見えてきました。
滞在時間0秒
人間が記事を読んでいる形跡が全くありません。
トップページへの集中
特定の記事ではなく、サイトの玄関口だけを叩いている。
アクティブユーザー数と表示回数が一致
サイト内を一切回遊していない。
これは、熱心な読者が中国から訪れたわけではなく、21世紀の砂漠を往く、実体のない「デジタル・ゴースト」――すなわち、自動巡回プログラム(ボット)です。
中国軍の情報組織か、AIの「食料」探し巡礼か
蘭州は、旧蘭州軍区の流れを汲む西部戦区の重要拠点であり、サイバー関連の部隊が存在すると噂される場所でもあります。そのため、「中国軍による情報収集か?」と一瞬身構えてしまうかもしれません。
しかし、より現実的な推測は、現代ならではの「食欲」。
現在、中国では独自の生成AI(大規模言語モデル)の開発が猛烈な勢いで進んでいます。その学習データを求めて、世界中の専門的な日本語サイトを、蘭州にある巨大なデータセンターのサーバーを経由してクローラーが巡回している可能性が高いです。
投資、分子生物学、農学、そして中国史。私が綴っているこれらの専門的なコンテンツは、AIにとっても「栄養価の高い」情報源としてマークされたのかもしれませんね。
アクセス数の少なさが語る「情報の純度」
正直に言えば、私のサイトのアクセス数は、数百万PVを誇るような大手メディアとは比較になりません。しかし、今回の「蘭州からのアクセス」は、アクセス数の多寡とは別の視点を与えてくれました。
「0秒」で去っていく機械の目は、サイトの賑わいではなく、そこに置かれた「情報の質」だけを機械的に選別しているようです。誰もいない砂漠にひっそりと建つ宿場町に、最新の偵察機が飛来したようなものです。
アクセス数が少ないということは、裏を返せば、そこにある情報が「大衆に迎合していない、純度の高いものである」という証左と考えているのかもしれません。
あるいは、以前からマークしていたwadaken.topに新しいサブドメインが公開されたので、とりあえず、アクセスしてみたら、wadaken.topとはジャンルがかなり違うし、何やら中国関係なので怪しいと思われたのかも。
そういえば、1月25日前後って、中国でちょっとした騒ぎがありましたし、フェイク動画が多数投稿されてもいましたよね。
結び:デジタル長城の向こう側へ
GA4に現れた蘭州の影は、私のサイトが単なる日記帳ではなく、海を越えたデータ戦列の端に位置していることを教えてくれました。
実体のない「0秒」のアクセスに一喜一憂する必要はありません。ですが、かつて蘭州を拠点に西域へと挑んだ張騫のように、私もまた、この小さな拠点から、国境も時代も越えて届く「価値ある言葉」を紡ぎ続けていきたいと思います。
たとえ、次に訪れるのも「0秒」の機械であったとしても、その裏側にある時代のうねりを感じながら。

コメント