中国発「銀ETF」ストップ安の激震:歪められた市場の報いとグローバル連鎖暴落の深層

現代の覇権争い

今週、世界の金融市場は中国から吹いた冷たい風に凍りつきました。中国市場の銀(シルバー)ETFの連続ストップ安を起点としたこの混乱は、単なる一時的な価格調整ではなく、中国が抱える構造的矛盾が「市場ルール」という劇薬によって露呈した結果と言えます。

長年、中国経済の危うさを説き続けてきた宮崎正弘氏の視点を交え、今回の暴落劇のメカニズムと、その先にあるリスクを分析します。

1. 暴落の引き金:官製ルール変更による「歪み」の強制修正

今回の混乱の背景には、極めて中国的な市場の歪みがありました。

第一に、国内の投機的な信用買いが膨れ上がり、実需を3割も上回るという異常な暴騰を演じていたことが挙げられます。実体から乖離した「砂上の価格」が形成されていたのです。

事態が動いたのは2月2日。当局は基準価格の算定基礎を、それまでの上海先物ベースから「世界標準」へと突然変更しました。このルール変更により、世界の現物価格との大きな乖離(プレミアム)が一気に解消される方向へ力が働き、中国市場の銀ETFは連続ストップ安へと追い込まれました。

2.「追証」が引き起こした資産の投げ売り

ストップ安で売り注文が張り付いたことで、投資家はETFを売却して損失を確定させることすらできなくなりました。その結果、発生したのが膨大な「追証」です。

投資家は証拠金を維持するため、手持ちの流動性資産、すなわちNY銀先物やビットコイン、さらには金先物を現金化するために投げ売りを開始しました。

さらに深刻なのは、木曜日にETFの下落が一定ラインを超えたことで、システムによる「自動強制売却」が発動した点です。これがさらなる売りを呼ぶ負のスパイラルとなり、NY銀は4%超、ビットコインは7%超の暴落という惨状を招きました。

3. 宮崎正弘氏が指摘する「偽りの経済」の限界

この一連の流れは、宮崎正弘氏が長年警鐘を鳴らしてきた「中国の数字は信じられない」という言説の一つの証明とも言えるでしょう。

世界標準という「光」を当てられた途端、中国国内だけで通用していた投機価格が崩壊する様は、まさに氏が説く「中国経済の虚飾」を象徴しています。

宮崎氏は、中国共産党による市場コントロールが限界を迎え、最終的には国際標準の荒波に飲み込まれて崩壊すると予測してきました。今回の銀ETF騒動は、まさに「中国独自のルール」が世界標準に衝突し、敗北した瞬間なのです。

4. 余震への警戒と、分かれる市場の明暗

昨日、米国株の下落とともにVIX指数が16%台に乗せたことは、市場の警戒感が「中国発の流動性危機」に向けられていることを示しています。追証の解消には時間を要するため、来週前半にかけても市場の「余震」が続く可能性には十分な注意が必要です。

米国株も独自の金利・景気要因を抱えていますが、世界的なリスクオフの波がどこまで波及するか、予断を許さない状況です。

一方で、日本株については与党の選挙圧勝予想という独自のプラス材料があり、堅調さを保っています。

5. 特定銘柄への波及:銀・金関連株の現状と見通し

この流動性危機は、日本の関連銘柄にも直接的な影を落としています。

銀関連銘柄(DOWAホールディングス[5714]、住友金属鉱山[5713]等)

銀価格の急落は、これら非鉄金属大手の収益悪化懸念に直結します。特に銀の製錬比率が高い企業や、中国向けビジネスの比重が大きい銘柄は、今回の市場混乱に伴う「換金売り」の対象になりやすく、短期的には下押し圧力が強い状況です。

日本の金先物・ETF

東京金先物も2%の下落を見せましたが、これは実需の悪化というより、中国勢の「追証のための換金売り」が主因です。円安基調や国内の根強いインフレ懸念があるため、パニック売りが一巡した後は、日本国内の金関連資産は相対的に底堅く推移する可能性があります。

今後の焦点

追証の解消には時間を要するため、来週前半までは「余震」としての売りが出るリスクを警戒すべきです。特に銀ETFの需給が正常化するまでは、ボラティリティの激しい展開が続くでしょう。

結論:投資家が学ぶべき教訓

「中国の暴騰には必ず裏がある」——。

宮崎正弘氏が説き続けたこの教訓は、今回の銀ETFを巡る騒動でも改めて証明されました。市場の歪みを政治や制度で糊塗し続けることは不可能であり、そのツケは常に、最も流動性の高い資産の暴落という形で世界に回されます。

さらなる暴落局面もありうる状況

それからもうひとつ注意すべき点は、今回の暴落が中国本土の一部の個人投資家を直撃したことです。彼らの傷が癒えるまでには相当の時間がかかると思われます。

「上値を買う人たち」がいなくなったことで、次のきっかけ次第では、さらなる暴落局面もありうる状況になってきました。

私たちは今、中国発のバブル崩壊が「貴金属」や「仮想通貨」という回路を通じ、全世界のポートフォリオを直撃する時代に生きているのです。

なお、ここまでの大騒動になった背景には、金融・経済だけでなく政治や軍事をも含んだチャイナリスクが今年に入って顕在化してきたという地政学リスクの高まりもありそうですね。

==> チャイナリスクの本質:歴史的構造と現代経済の臨界点

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