1年で4,143億円の赤字を出した会社が、次の3か月で過去最高益を出しました 日本の自動車業界は、いま決算の読み方を間違えます

投資戦略ラボ

本田技研工業の直近の本決算は、営業損益が4,143億円の赤字でした。売上21兆7,966億円に対して営業利益率マイナス1.9%。ところがその決算が締まったわずか3か月後、2026年4月から6月の四半期は、営業利益5,307億円、営業利益率8.8%、前年同期比プラス117.4%――四半期として過去最高です。同じ会社の、続きの3か月の話です。

さらに驚くのはこの先で、この1四半期だけで稼いだ純利益4,509億円は、会社が発表している通期の純利益予想4,000億円をすでに超えています。1年分の予想を、最初の3か月で上回ってしまった。理由は米国の関税です。2026年3月期は関税が直撃した「底」の期であり、しかも上期27.5%・下期15%という条件の違う2つの期間が1枚の決算書に混ざっていました。

だからいま、この業界の決算を本決算だけで読むと、ほぼ確実に判断を誤ります。トヨタは約1兆3,800億円の関税を吸収して営業利益率7.4%を守りましたが、四半期では逆にまだ減益中。前の期に最も強く叩かれた会社ほど勢いよく戻り、傷が浅かった会社に遅れて効いている――それが今の姿です。

noteの記事では、次のような内容を扱っています。

  • 関税は27.5%から15%へ、すでに引き下げが完了している――経緯の整理と「1枚に2つの期間が混ざった決算書」の読み方
  • 現地生産率62%のホンダが赤字転落し、0%の三菱自が済んだ理由――ダメージは「北米比率×現地生産率」の掛け算で決まる
  • PERを比べる前に分母を疑う――ホンダの進捗率112.7%と三菱自の5.6%が意味すること
  • トヨタの四半期は為替だけでプラス4,800億円、それでも減益だった――「関税の回復」と「円安の嵩上げ」を分ける
  • PBR0.4倍・配当4.80%で総合1位のマツダの、営業キャッシュフローが2.2億円だったという1行
  • PBR0.2倍とPER57.6倍が同居する日産――Re:Nissanの完遂そのものが投資仮説になる理由
  • EVは減速しHVが米欧でEVの伸びを上回った。ただしガソリン高という外部要因をどう割り引くか
  • 反転しない唯一のコスト、SDVへの業界2兆円――規模の経済が中堅を選択に追い込む
  • 営業利益率5%超・PER15倍未満・自己資本比率40%超でふるいにかけたら、残ったのは「関税に当たらなかった会社リスト」だった

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