売上の半分が消える日が、もう日付で決まっている会社があります 日本の医薬品業界は、営業利益率の高さで選ぶと間違えます

投資戦略ラボ

小野薬品工業(4528)の売上収益は5,158億円です。そのうちの半分以上を、オプジーボという1つの薬が稼いでいます。そして、その薬の特許が切れる日は、すでに決まっています。米国が2028年、欧州が2030年、日本が2031年。特許が切れれば後発品が入ってきますから、国内売上は満了後の数年で半減する見込みだとされています。

これほど将来のリスクがはっきり見えている会社も珍しいのですが、それでも株価はPER16.1倍。異常に高いわけでも、投げ売りされているわけでもない、ごく普通の水準です。

そしてもう1つ、この業界には広く信じられている誤解があります。「高齢化が進むから医薬品は伸びる」というものです。ところが日本の医薬品市場は年平均プラス1.4%成長(欧米は3〜4%)で、2022年から2026年では先進10か国の中で唯一のマイナス成長。2026年にはドイツに抜かれて世界4位に落ちます。高齢化が増やすのは数量であって、薬価が下がる以上、金額は伸びません。

今回、東証上場の医薬品メーカー30社の決算と株価を並べて整理しました。分かったのは、この業界は「営業利益率が高い会社が良い会社」という基準では選べないということです。決めるのは採算の高さではなく、その採算があと何年続くのかです。

noteの記事では、次のような内容を扱っています。

  • 2026年度の薬価改革で、長期収載品の引き下げ開始が10年から5年に短縮された意味――制度が勝者と敗者を決める業界
  • 営業利益率47.6%の中外製薬と2.8%の杏林製薬。17倍の差は経営の巧拙ではないという話
  • 「主要7社、営業利益41%増」を平均で読んではいけない――武田はマイナス98%、アステラスは9倍
  • 売上4兆5,057億円でROEマイナス2.1%。武田薬品のPER53.8倍が成立しない理由
  • アステラス製薬の営業利益410億円から3,826億円への急回復は、本当に減損の反動だけなのか
  • 純利益では見えない22%の営業減益――エンハーツが売れるほど利益折半コストが増える第一三共
  • 純利益を営業利益で割る。0.7が基準という物差しと、武田マイナス24.51・東和薬品0.23・JCRファーマ3.92の意味
  • ROE36.5%(住友ファーマ)が、実は分母が壊れた後の見かけである話
  • 営業利益率33.4%なのにフリーキャッシュフロー・マージンがマイナス58.6%という塩野義製薬
  • 機械的なスクリーニングで残った3社と、「質ではなく値段で落ちた」中外製薬

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