暴落について調べた5本の、最終回です。前回に続いて有料記事になります。
ここまでの4本で、「米国の燃料は満タン」「火種は金利」「日本株の下げ幅を決めるのは円」「オルカンは売らないほうがよい」という結論が出ました。残った問いが1つあります。売らずに守る方法はないのか。先物やオプションを使えば、株を持ったまま下落だけを打ち消せるはずです。
まず、いちばん有名な方法から検証しました。プットオプションを毎月買い続けた場合です。1990年から2026年までの36年分。
ヘッジなし(日経平均)は年率3.2%で最終3.1倍。5%下のプットを毎月買い続けると年率0.3%で1.1倍(保険料は年10.8%)、10%下なら年率1.3%で1.6倍(同3.2%)。保険料を払えばリターンが落ちるのは当然ですが、問題はその先です。
最大下落率は、ヘッジなしがマイナス71%に対し、5%下のプットがマイナス82%、10%下がマイナス78%。保険を買い続けたほうが、下落率まで悪化していました。1990年から2003年の日本株は毎月少しずつ13年かけて下げたので、月次のプットは一度も払い戻されずに保険料だけが出ていったのです。
では、ヘッジは無意味なのか。そうではありません。問題は「ここぞ」をどれだけ正確に当てる必要があるか、です。そこで今回いちばん手間をかけたのが、損益分岐の的中率の計算でした。
日経平均65,019円、日経VI 30の今、10%下のプットを3か月買うと保険料は2.0%。マイナス20%の暴落で10%回収できるので、元が取れる的中率は20%です。一方、任意の3か月で日経がマイナス20%以下になる無条件の確率は1.6%。基準率の12倍の精度が要る、ということになります。
記事では、この続きとして次の内容を扱っています。
- 個人が使える道具の一覧(日経225ミニは650万円、マイクロは65万円ぶん)と、見落とされがちな税の非対称。先物の利益は株の含み損と損益通算できず、資産が減っているのに納税だけ発生する
- いまの保険料の実額。日経VIが30の今と平時20とで、プットの値段は2〜6倍違う。日経VIは30、VIXは15で、日本市場はすでに米国の2倍の恐怖を織り込んでいる
- 「10か月線を割ったら先物で売る」条件付きヘッジは日経で機能した(最大下落マイナス71%→マイナス46%)。ただし発動36回のうち28回はダマシ。当たらないのに効く理由
- 同じルールを米国株に使うと逆効果になる理由。ヘッジは期待リターンが低い資産ほど割に合う
- 「暴落は円高」は過去5回中2回だけ。2022年はヘッジなしがプラス2%、ヘッジありがマイナス21%だった
- 損益分岐の的中率の全表(プットは基準率の4〜14倍、先物でマイナス10%狙いなら1.2倍)
- 保有資産別に、誰が何をどうヘッジすべきか
- 自分の予測精度を紙と鉛筆で測る方法
この第5回は有料記事です。冒頭の検証結果と、損益分岐の的中率の考え方までは無料でお読みいただけます。
シリーズ全5回はこちらです。第1回から第3回までは無料で公開しています。
▶ 第1回「株を買うための借金が、アメリカで史上最高の1兆4,540億ドルになりました」(無料)
▶ 第2回「社債のスプレッドが暴落の先行指標はウソでした」(無料)
▶ 第3回「米国株が崩れて日本株が無傷だったことは、1987年以降一度もありません」(無料)
▶ 第4回「暴落が来たらオルカンは売るべきか」(有料)
なお、これは過去データの検証と一般論であって、個別の投資助言ではありません。オプション価格はブラック・ショールズによる近似で、実際の保険料はこれより高くなります。数値はすべて2026年9月22日時点のものです。投資の判断はご自身の責任でお願いします。

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