東北電力のPERは4.9倍です。九州電力は7.3倍、電源開発は8.6倍、関西電力は9.2倍。PBRを見ると、もっと驚きます。中国電力0.40倍、東京電力ホールディングス0.40倍。大手電力とガスの主要10社で、PBRの中央値は0.75倍でした。1倍を超えているのは東京瓦斯と大阪瓦斯の2社だけです。
純資産の4割の値段で買える会社が、日本の電力を作っています。数字だけ見れば、掘り出し物の山です。
ところが同じ2026年4〜6月期に、大手電力10社のうち8社が経常減益または経常赤字に転落しました。関西電力の会社予想は、2027年3月期の経常利益が前期比44.1%減の2,900億円です。このPERは、分母のほうが崩れかけています。
原因は燃料費調整制度の「期ずれ」です。原燃料価格の変動が3〜5か月遅れて料金に反映されるため、燃料が下がる局面では利益が水増しされます。2024年3月期に大手電力が出した史上最高益は、経営の成果ではなくこの産物でした。そして局面は、もう逆転しています。
今回は、電気とガスのバリューチェーンに属する上場33社の決算を並べて整理しました。株価は2026年8月20日終値、財務は各社の直近本決算によります。
noteの記事では、次のような内容を扱っています。
- 燃料費調整の期ずれ――関西電力がマイナス1.3%から18.0%へ跳ねた1年に何が起きたか
- 採算を決めるのは原発ではなく「燃料を買わずに済む電源」――原発ゼロの北陸電力が営業益率11.1%で電力トップ
- 自己資本比率で選ぶと関西電力と九州電力が落ち、代わりにINPEXが通ってしまう話
- 中部電力・東京電力HD・電源開発を営業利益で測ってはいけない理由(JERAと海外IPP)
- 東京電力HD――営業益プラス44%でも純利益は4,543億円の赤字。廃炉特損9,000億円超と、事故後初の再稼働
- AIデータセンターは13倍に増えるが、総需要の4〜5%にすぎず、83%が3エリアに偏る
- 洋上風力の挫折――三菱商事連合の撤退と、30円/kWhという現在地
- 東京瓦斯の純利益2,269億円は営業利益より大きい。翌期計画は41%減
- PBR0.75倍という評価の3つの理由と、中国電力0.40倍・電源開発0.50倍の意味の違い
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