最近、株式市場でいちばんよく見かける説明の型があります。AIが普及する、だからデータセンターが増える、だからそこに使われる電子部品が儲かる。この三段論法です。実にわかりやすくて、そして実に危ないと私は考えています。
電子情報技術産業協会(JEITA)の見通しでは、2026年の日系企業による電子部品・デバイスの世界生産額は前年比3%増です。AIブームで沸いている業界の数字とは思えません。それもそのはずで、この3%はAIサーバー向けの急増とスマートフォン向けの記録的な急減を相殺した後の数字なのです。業界平均を見ても、各社の実態は何ひとつ掴めません。
さらに厄介なのは、AIの追い風とスマホの逆風が別々の事象ではないことです。AIサーバーがメモリを吸い上げ、そのせいでスマホが作れない。2026年の世界スマホ出荷は13%前後の減少という、過去最大の落ち込みが予測されています。AIブームがスマホ市場を殺している、という因果関係になっているのです。
東証上場の電子部品メーカー32社を決算数値と株価で並べ直すと、テーマの矢印を三つ並べただけでは絶対に見えない構造が出てきます。
note記事では、次のような内容を扱っています。
- 業界成長率3%の正体。AI好況とスマホ不況が相殺された「意味のない平均値」
- TDKは電子部品会社ではなくスマホ電池会社。売上の55%を占めるエナジー応用製品
- ヒロセ電機20.4%対日本航空電子3.9%。同じコネクタで営業利益率が5倍違う理由
- 逼迫しているのは先端MLCCだけ。汎用品を襲う中国勢の国家戦略級の設備投資
- ニデックのeアクスル凍結と会計不正。数字が1年古い銘柄がスクリーニングで上位に出る罠
- 太陽誘電PER95倍と京セラのフリーキャッシュフロー。シクリカル銘柄の数字の誤読
- 営業利益率10%超・PER20倍未満・自己資本比率60%超で32社をふるうと残る3社
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